デジタル百葉箱製作覚え書き

ラズベリーパイで教材づくり IOT百葉箱

デジタル百葉箱とかIoT百葉箱とか雑感

今回、気温湿度気圧のデータを取得、カメラで雲画像を撮影してログを取り、さらにそれをグラフ化してwebページで見ることができる、というシステムを作りました。


製作にあたり、当然のことながらいろいろ調べました。


そこで感じたこと。


なんだすでにずっと昔から同じことを考えてた人がたくさんいたんだ。
でも、数値データだけ表示させて終わってる、実験レベルのケースも多い。
きちんと屋外に設置して「室内」データではなく、屋外の「気象」データを取得しているケースは少ない。
ウチダという文房具メーカーが私とまったく同じような構成で、データを全国から集めて一つにまとめて他地域のデータも見られる仕組みを構築しているのは、「これだ!」って思いました。でも、あんまり勢いがないような...。

また、netatmoというところで気象観測装置を販売したりその気象データ公開をしてます。
https://weathermap.netatmo.com/
他にも大学や学校でもいろんな取り組みが見られました。


すごく面白いと思うんです。気象庁の各地の観測所のデータも見ることができるけど、もっと局所的なデータも見ることができますし。


で、自分は自作したけど、これが製品となってもっと安価に提供されるといいなあと思います。
全国の学校では従来型の百葉箱は少なくなってきているそうです。場所の問題もあると思いますが、一番の問題は管理だと思います。屋外の常に天日にさらされている小箱は傷みやすいし、気温や湿度の記録を毎日とるのも大変です。まあ、記録はその単元のあたり、一週間ほどだけでしょうけど。
小学校では4年5年の単元で気温の変化を扱いますが、おそらくネットで簡単に閲覧できるデータで授業は成立すると思うんです。
でも、子供の見える場所に観測装置があって、その「生」の24時間途切れないデータを見せることでより子供の興味を引くと思うんです。「気象庁の気温データです」より「〇〇小学校の気温データです」の方が、より。単元的にも。
このあたりにデジタル百葉箱の存在意義があると思っています。


データを全国公開するにはたくさんの課題があります。
以前、スクラッチというプログラムの授業をしたことがあります。スクラッチもリミックスと言って世界レベルで共同作業とでもいえるような仕組みがあるんですが、指導上先が読めないのでやりませんでした。
気象データの公開については気象庁の法的な制限があります。今回は外部に公開しないものの、念のためwebページに「教育目的でのみご使用ください。」と入れてあります。
他校や外部と絡むのは連絡調整や、自分自身が見通しが持てないことでやりにくいです。外部を巻き込んでのトラブルになることを避けたいんです。


学校を取り巻くネット環境の貧弱さも大きく影響しています。
まず、iPad以前は無線LANは私の地域の学校では禁止でした。
今は無線LANありますが、wifiのパスワード管理、macアドレス制限などすごく厳しいです。まあ当たり前でしょうか。
で、今回のデジタル百葉箱ですが、原則wifiはiPad以外ダメ、システム担当が管理できない「私物」を校内ネットワークに接続するのもダメ。
ちょっとゴネてみましたが、いいんですわかります理解できます。


その次。じゃあ独立したネットワークだとどうよ。屋外に設置したラズパイから教室までLANケーブルを素人が引くのは技術的にも金銭的にも施設的にも無理です。距離もそうだし、廊下伝いに這わせるのも現実的じゃないし、廊下の露出配線は禁止だし。


で、無線LAN、2台買いました。アクセスポイントとして中継させます。
試しました。
電波届きました。
教室からデータ見ることができました。
その実験後、管理職に正式に承諾を得ようと相談しました。


wifiはダメだそうです。
個人情報は扱いませんよ、とかセキュリティかけてますよ、とか気温データを盗まれても問題はないですよね、とかいろいろ言いました。
実害がなくても「学校から私物のwifi電波が出ている」だけで問題になるんでしょうね。
万一気象データが漏洩したとすると個人情報がなくても今の世間では問題にされますもんね。
管理職としてはダメ、としか言えないんでしょうね。
撃沈です。無線LAN2台、メルカリしようかな。


自分の上司に文句を言ってるんじゃなくて、「学校」という組織が世間からそのように制限されているんだと思います。


「あの~、先生たちのスマホからもwifiが...」とは言えませんでした。時々テザリングっぱなしのスマホwifiもあるんですが。


結局屋外にあるラズパイからLANケーブルを窓を開けてむりやり引き込みました。ここも露出配線はだめだそうで、まあ環境的にもまずいので屋外部分はパイプに通しました。
私物のラズパイに電源を取ることは許可を得ました。
厳密にいえば職場でケータイ充電も電気の窃盗とかになるんでしょうから。
そしてデータはその窓の近くに私物PCを持って行ってLANケーブルを接続してデータコピーすることにしています。wifiなら簡単なのに。リアルタイムでもなくなりました。
そしてラズパイがインターネットに接続できないということは、NTP(ネットワークタイムプロトコル)サーバにも接続できなくなるので、電源投入時SSHから時刻設定してあげないといけない。オプションの時刻を保持するやつほしいかも。


きっと文科省の研究対象で助成金とかつく事業で同じことをやったら「学校で気象情報をインターネットで公開!」なんて地域版の埋め草記事になるんでしょうけど。
私物でやってるもんだから、「あいつが勝手にやりやがった」ってはなしです。


周りから見たらデジタル百葉箱も趣味でやってる、ってところでしょうか。否定はしませんっていうか肯定します。そうですよ毎日自宅で遅くまでいじってますよ土日もずっとプログラミングしてますよだって趣味なんですよ。でも授業で使いたいんです。教材作りです。


これが学校を取り巻くIT環境の現実です。
学校のIT化はどうなっていくのでしょうか。